
『ダンジョン前の宿屋〜女の子を見ながら稼ぐ人生〜』
作者の方がどこまで意図されてるのか不明ですが、感心を通り越して衝撃でした。生成AI作品に対するイメージが変わったと同時に、生成AIイラストの使い方を見せつけられた気がしました。で、FANZAレビューの1,000字制限のせいで余白が足らなかったので、655,360字まで書ける自分のブログで発散します。7,000字超えてた。
短評

ダンジョン前の宿屋〜女の子を見ながら稼ぐ人生〜- FANZA
多分1週間後に某所で全く同じレビューが投稿されると思うのでそっちを待ってもいいんですが、利用規約読んだところ、著作権が自分にあることと複数投稿などの禁止について明言されてないことが確認できたので要約として、先んじてコピペしておきます。
誤解されると困るのであらかじめ明言しておきます。自分は本作『ダンジョン前の宿屋〜女の子を見ながら稼ぐ人生〜』を高く評価していますが、評価しているのはゲーム性(面白さ)ではなく、生成AIイラストの"使い方"の部分です。めちゃ失礼なことを言ってますが、ゲームとしては、まあ、値段相応……かなあ?
短評(投稿レビュー)
「生成AI作品だから」
たったそれだけの理由で避けていたことを後悔しました。
【ゲーム性について】
『ウラレタウン』『モンスターブラックマーケット』と同ジャンルのリアルタイム経営シミュレーション。難易度は低めで、目標日数やゲームオーバー、キャラの死亡といった要素はありません。キャラに指示を出すような忙しさもなく、放置ゲー・クリッカー系に近い感じ。冒険者たちをひたすら観察するのがメインです。
ただ、UI/UX面の不満は多いです。CGモードがない、セーブデータは1つだけ、各種アナウンスが目立たない、冒険者の自室の様子を伺うのが手間、そしてなにより並列的にキャラの様子を追えないのは致命的。即刻全室に監視カメラの導入が求められます。
おまけに、エチエチ要素は希薄。まず訪れる冒険者の三分の一は男。女性キャラ20人のイラスト60種以上のうちモザイクが必要なものは3~6枚程度。しかもテキスト0、ボイス0。エロゲとしてどうなんですか?
【かわいいゲー】
が、あえて言います。本作の最大の魅力は、90%を占める日常イラストにあります。
本作の舞台は「冒険宿」。冒険者はダンジョンを攻略し、宿で食事をし入浴し、休み、時に外出する様子などの生活全てに、しっかりイラストが3パターンずつ用意されています。これがとてもいい味を出している。
例えば、エロと日常イラストの比率が逆だったら全く別のゲーム体験になってたと思います。経営シミュ好きだけど「娼館」「人身売買」みたいなハードな内容はちょっと……という悩みを抱えている人には、まあまあ合うのではないかなと思います。
一番の見どころは、冒険者の食事や飲酒。体験版の範囲内で見られるので、ぜひ雰囲気を確かめてみてほしいです。
【生成AIで実現された日常】
ここからはほぼ独り言ですが、初めてのレビューを書こうと思ったきっかけなので。
日常の描写は、多くのエロゲーではないがしろにされています。しっかり描くにしてもADV形式のテキストで終わり、そのシーンを象徴する健全なスチルが差し込まれることは稀です。
「エロがメインなんだから日常はどうでもいい」というのは同意しますが、「ないよりあったほうがいい」日常を生成AI技術が実現してくれたのだと感じました。
余白が足らないので、この辺で。ともかく、生成AIはこう使うのか、という衝撃を受けた作品でした。
非連続性が許容されるには
ここからは、余白が足りず書けなかったことを10倍くらい冗長に書いていきます。
生成AIイラストは連続性・同一性が苦手

生成AI漫画を読んだことある人、いますか?自分もあまり読んだことはないんですが、経験がなければpixivで漁ればいくつか出てきます。で、読んでみると、なんとも言語化しづらい絶妙な違和感を覚える人が多いのではないかなと思います。1コマ単位ではそれほど問題なくても、1ページ単位にした途端に、漫画版不気味の谷が発生する。
通常、イラストとしてもストーリーとしても、漫画は連続性・同一性が求められます。演出的な効果を狙っているわけでもない限り、前後で文脈が通ってなかったり、作画や背景に統一性がなかったり、というのは許されないでしょう。
これは自分の考えですが、生成AIは「連続性・同一性を担保した複数のイラスト」を用意することができません。いや、多分違和感なく作ることは既にできるのかもしれませんが、多くの学習や修正、それらを実行できる人間の知識と技術が必要なはずです。少なくとも非専門家が実現するには多大なコストが掛かるでしょう。
そしてAI生成画像の最大の問題点は「連続性や統一感を維持できないこと」だと思います。つまり、ある部屋の画像を生成させて一つのコマで使用したとして、次のコマでちょっとアングルを変えた背景を使いたいと思っても、次にAIが生成するのは先ほどとは全く別の部屋になってしまう訳です。AIの精度が上がって、細部に至るまでちゃんとしているものを描けるようになっても、この根本的な問題が解消されない限り、背景作画に使っていくのは難しいところです。
まあ別に生成AIに関して特別詳しくない自分が言っても仕方ないなと思い、適当にググったところほぼ同じようなことを言われているブログがありました。焦点は背景についてですが、イラストって括りでは同じ話だと思いたい。蛇足ですが、確かに人物より背景のほうが数万倍大変そう。
ですが「作中で一回限りの使用」「サラッと流す部分なので細部は適当でも良い」という場合は、割と使えるのではないでしょうか?例えば上の村やマーケットの上空視点の画像ですが、こういう構図のコマって写真素材も3D素材もあまり無いから描くのメチャクソ大変な上に巻頭ページにドカッと出して『20xx年、人類は増え過ぎた人口をなんとかかんとか…』の説明コマで一回使用するくらいであともう出てこないですよね。……じゃあ、AI作画でもいいんじゃね?
じゃあ、生成AIが苦手な"連続性"を持たせないような使い方するのが賢くね?というのがこの後の自論展開だったわけですが、まんま同じようなことを書かれていて、井の中の蛙の気分でした。調べなきゃよかったかもしれない。
ゲームは実は非連続性と非統一性の嵐

これね、ボクがハマってる『神姫プロジェクト』ってゲームのソルってキャラなんですけど。これさ、冷静に考えてみて、おかしくないですか?「全部ソルです」って説明されて、「いや全然作画違うじゃねーか!」ってキレることはまずない。作画も頭身も全然違うのに、ボクはこれを同一キャラの"ソル"として認識してるんですよ。でもこれが許されるんだったら、別に漫画だって1コマずつ作画が変わってたっていいじゃん。次のコマで髪型がちょっと変わってたっていいわけじゃん。
この3種類のソルは同じキャラでありながら、それぞれ独立した存在だから許容されてるんですよ。キャラクターイメージとしてのソル、バトル画面のソル、スタンプのソル。当然この3種のイラストの間にストーリーがあるわけではないので、連続性がなく、ゆえに同一性が強く求められない。役割が違い、独立している。
こういう事例、探せば死ぬほどあると思うんですよね。いや、より正確には、見逃している場面が多分ある。3Dゲームではちょっと難しいと思うんですが、2Dゲームだとイラストを差し込める場面ってきっと無限にあるんじゃないかなと。
話を戻しまして。この差し込みチャンスに目をつけ、生成AIをもってして作品の雰囲気を作り上げたのが本作『ダンジョン前の宿屋』だと自分は考えています。
生成AIによるビジュアライズ
ないがしろにされていた日常

短評の通り、本作は日常イラストの比率が圧倒的に高いです。これは本作の舞台が「冒険宿」であり、断じて「娼館」「人身売買所」などではないからです。エロ経営シミュあるある、圧倒的非人道性。性癖に合わないけど経営シミュ好きな人は分かってくれると思います。性癖ではなくゲームジャンルで探す人は、多分みんなそう。これは予想なんですが、おそらく本作は経営シミュレーションというゲームジャンルが先にあったんじゃないかなと思います。これ以外でR18要素の少なさを説明できない。
ともかく本作に登場する冒険者は、キャラクター目線ではエロのために存在しているのではなく、ダンジョン攻略を目的としつつ普通に生活してるわけです。これ、今まで本当に軽視されていた部分だなと思いました。
日常の描写は、多くのエロゲーではないがしろにされています。しっかり描くにしてもADV形式のテキストで終わり、そのシーンを象徴する健全なスチルが差し込まれることは稀です。
思うに、これはエロゲだけの話ではありません。ほとんどの作品でキャラの日常が語られるとき、それはほとんどがテキスト中心です。というかテキストで描かれるだけでもすごいですよ。一切触れられない作品だって全然珍しくないですからね。
テキスト以外の表現方法としては、例えばソシャゲによくある箱庭とか。2,3頭身くらいの3Dキャラがうろうろしてるやつ。これが日常かと言われたら微妙なラインですが。これは恐らく明確なメリットがあって、1回素体を作っちゃえば使い回せるので追加モーションや追加衣装などを実装しやすい、と思う。
別にテキストで語られることが悪いというわけではありません。ただ、物語的に重要な局面、つまり非日常は、ムービーなりフルボイスなり、ゲームのメイン部分だったり専用のイラストが導入されたり、豪華に描かれます。
「エロがメインなんだから日常はどうでもいい」というのは同意しますが、「ないよりあったほうがいい」日常を生成AI技術が実現してくれたのだと感じました。
この「どうでもいい」は「(コストを考えると)重要度が低い」という意味であり「ないほうがいい」ものではないはずです。通常、イラストを用意するには相応の金銭なり時間なりが発生するわけですが、生成AIイラストであればそのコストを大きく削減できます。つまり「あったほうがいい」ものに着手しやすくなるわけです。まあ、本作はエロシーンが壊滅的に少ないので、結果的に日常イラストが「なくてはならない」ものになっているとも言えますが……
ちなみに本音としては、結果的とはいえ比率的にエロ減らすってのは、エロゲ目線では優先関係おかしいでしょってのは、しっかり主張しておきます。これだったらエロ削除して全年齢向けにしたほうがいい。ま、仮にそうだったら自分は手にとってすらなかったと思いますが。まんまと釣られている。どうなんだろうな、裸にすると情報量が少なすぎて逆に同一性保つのが難しくなるのかな。いややっぱ、ゲームジャンルが先にあって作られた作品なんだろうな。
視覚化が軽視されてきた経営シミュ

今更ながら、本作は、基本的に冒険者たちは状況に合わせて全員が自動的に行動します。冒険、外出、飲食、入浴、休憩、睡眠。各自がある程度自由に動き、行動を終えると各種パラメータが変動することの繰り返しです。最終的に、冒険先のダンジョンを制覇を目指します。プレイヤーはそんな冒険者たちの宿を経営するだけです。
つまり本作は、画面左側のイラストなんかいらないんです。ふるーい経営シミュレーションを遊んだことがある人なら分かると思うんですが、テキストだけで淡々と事実が羅列されてるだけで経営シミュというゲームは成立します。もっと言えば、RPGもローグもADVも、記号的なものをイラストに含めないなら、シューティングもアクションもパズルもイラストなしで成立するでしょう。
実際には、RPGやアクションなどのゲームジャンルは視覚的に進化してきました。一方、経営シミュレーションというジャンルはビジュアライズが軽視されてきたように思います。何故なら、ゲームの面白さに直結しづらいから。ぶっちゃけどうでもいい。だったらゲーム性の洗練を優先してほしいとは、正直思います。
ただ、どうでもいい部分にこそ、ゲームやキャラを好きになる要素が隠れているとも言いたい。この「どうでもよさ」を、AI生成イラストを通じて、ある意味では受動的に感じられるのが本作の優れたところです。
漫画的一コマとのシナジー

ウーパちゃん、なんだい?そのシャンプーは。あとなんて言ってんの?
やっぱりね、なんだかんだ「ん?」みたいなイラストは結構あるんですよ。一回気になりはじめるともう終わりなんですけど、でも、どうでもいいんです。ゲーム性に関係ないし。ちょっと時間が経てば勝手に切り替わるし。ここが、本作の巧みなところ。受動性が強く、見なくてもいい。
人によりますが、漫画って、全てのコマの全ての情報を得ながら読み進めてるわけじゃないと思うんです。そこに多少の乱れや手抜きがあったとしても、おおよそ問題ないですよね(物語に比重が置かれているなら特に)。本作に登場する生成AIイラストの使い方は、それと同じです。コマの1つです。
ここまでいくつかイラスト付きの画像を載せてますが、いわゆる、一枚絵ではなく漫画の1コマ的な構図になってるんですよ。生成AIイラストの欠点は色々あるんですが、代表的なところでは、統一性が過ぎるハンコ絵、明らかに不自然な人体構造、場面にそぐわない背景など。これらの欠点を表に出さずに活用したのが、本作における日常の1コマです。
同時に、本作のイラストには漫画では必要な連続性が求められません。冒険者たちの行動はある意味連続的ですが、1コマと1コマの間には大きな空白があります。例えば食事シーンなら、食堂に入る→座る→注文する→料理が届く(中略)→入浴、といったスパンではなく、食事→入浴という長い行間があり、各行動の中の1コマを切り取っているだけなのです。つまり、連続的でありながら、それぞれが独立して見える。旅行写真の順序をバラバラにして見せられたら、どれが初日で最終日なのかは一見すると分からないですよね。背景情報とかから読み解くしかない。
独立しているからこそ、本作に用いられている生成AIイラストは、本来苦手である連続性・統一性の問題を見事隠し、かつ、ビジュアライズが軽視されていた経営シミュレーションを彩ることに成功しているのです。むしろ、一つの行動を細分化して連続性を持たせてしまったら、もしかすると途端に不気味の谷が発生していたかもしれません。
おわりに

正直、生成AIを活用したゲームを他にプレイしたことがないんですよね。なので、『ダンジョン前の宿屋〜女の子を見ながら稼ぐ人生〜』で自分が感じた衝撃は、界隈に詳しい人からすると「いや、別にセオリーだけどね?」みたいに一蹴されるかもしれない。
まあでも、それはそれでいいんです。蒙が啓けたことに違いはないので。
けど冷静に考えてみると、単にイラストの雰囲気が自分好みだけだった気がするな。量産型生成AIイラストが嫌いなだけかもしれない。もし本作がビビッドアーミー的な量産型イラストに差し替えられてたら、絶対同じ評価してないな。うーん。
結局、生成AIイラスト「らしさ」をいかに感じさせないかが重要なのかもしれない。なんて凡庸な結論なんだ。ゲームしかり漫画しかり、運用法についてはクリエイターたちの研鑽に期待したいところです。

ダンジョン前の宿屋〜女の子を見ながら稼ぐ人生〜- FANZA
上裸のアホタレが2人いたので、下の方に持ってきました。こうして並べて見ると、ザ・生成AI作品って感じだ。でも個人的には、複数イラストレーターで統一感が崩壊してるよりは好きかもしれない。
余談:何故遊べるエロゲを求めるのか
遊べるエロゲは、別に面白くない

ここから先は完全な自分語りです。
限りなく失礼なことをあえて言うんですが。遊べるエロゲって、大抵そんなに面白くないです。ここで言う「遊べるエロゲ」とは、ゲーム性を担保しつつR18な要素を含むゲームのことを指します。ゲーム性とは、を話し始めると長くなるし議論待ったなしなので、某クリエイターの言葉を借りまして「リスクとリターン」としておきます。駆け引きと戦略。
面白くないっていうのは当たり前で、比較対象としてコンシューマや名作インディーを想定しているからです。これは別にエロゲ制作者の姿勢に問題があるわけではなくて、作品の性質上、複雑化・高難度化させづらいことが一因です。まあ、エロゲですからね。さっさとシコらせろや!って言われたら、ぐうの音も出ない。となると、ゲームはどんどん優しくなってくる。
戦略・準備・実行・結果のサイクルを極めて短期間で繰り返せることがゲームの面白さであり、これらに共通する要素である「選択」こそがゲームの本質だと自分は考えています。この「選択」さえあれば、多分どんなゲームでもそこそこ楽しめる。ただ、ゲームが優しくなればなるほど「選択」の機会は減っていく傾向にあります。そりゃあ面白くないわけだ。自分的には。
でも、買っちゃうんだなこれが。面白くないとは言いましたけど、あまり頭使わないでもクリアできちゃうゲームはそれはそれで好きですし、難しければ面白いのかと言われればそんなことはないし。じゃあ、なんで買っちゃうんだろ?
かわいいゲーがやりたい

単純に、かわいい女の子が出てくるゲームがやりたいだけだなと思いました。なんの感慨もない結論だ。でもそうとしか考えられない。今回のゲームの登場人物が100%男だったら絶対買ってないもん。
Steamでかわいいゲーを探してもいいんですけど、結構面倒なんですよね。探すのが面倒なのもそうだし、女の子が主体でもゲーム性がメインだから、自分にとって苦手なジャンルは食指が伸びづらい。FPSとかSTGとか2Dアクションとかが自分は苦手なんですけど、ちゃんとゲームだから難しい。難しく感じる。そもそもパンツ対策されてたり。なんのためにかわいい女の子出してんだよ!!!
でもエロゲなら、そういう苦手ジャンルでも手に取りやすいんですよね。エロがメインだからゲーム的に簡単なことが多いし、探しやすいし、レコメンドも役に立つし。だから考えを改めてみると、"面白くない"ってことは、視点を変えてみると、実は重要なことなのかもしれません。
紹介しておきます。遊べるエロゲ。シミュばっか。